人が死を覚悟するとき


コラム - 人が死を覚悟するとき



ここ数年、日本での自殺者数は3万人を超えている。

この数字は国民の0.03%。
1万人に3人が自ら死を選んでいるということなのだ。


今一度、人の命。
そして生命を自ら断絶するという事について考えてみたい。


私たちが自殺者のニュースを聞く場合には、主に芸能人や有名人などが多いだろう。
テレビや新聞、雑誌などで報道されるからだ。

しかし、実際にはその何十倍もの自殺者がいる。


彼等、彼女等の中には、明日食べるものもなく絶望の中で生きる希望をなくし、誰からも情けをかけられることもなく、静かにやむを得ず死を選ぶ。

そんな人たちももちろんいるだろうが、その逆に経済的に豊かで、すばらしい職業に就き、多くの人たちから羨望のまなざしで注目を集める方々の中にも自殺者がいるのだ。


これはどういうことだろうか。



人生とは、大海原で皆が航海することにたとえられる。

中には大きなガレオン船に乗る富裕層もいれば、手漕ぎボートで太平洋を進む人もいるだろう。


海にはさまざまな不確定要素がある。
上空には台風、潮には激しい流れと波、海の中には獰猛な生物。


それらの困難やトラブルを回避しながら、各自が目指す場所へ向かうのだが、自殺者の多くはこの「目指す場所」を見失ってしまうことが考えられる。


海は広大で、太平洋や大西洋の真ん中へ放り投げられたら、どっちへ行けばよいのかわからないだろう。
そのときに大切なのは、どの方向へ向かえば陸地があるのか、安全な海流を進めるのかという目標だ。

しかし、漕げども漕げども水平線しか見えなければ、希望が見出せない。


人生=海を進む事で得られるさまざまな経験地を通じ、星を読むことで方向を漠然と把握し、羅針盤という武器を入手して方向感の精度を高める。

しかし、今の人たちはリスクを恐れるあまり、その場を動かなかったり、浅瀬を選んで進んだりするために、肝心の航海技術が手に入らないのだ。


若いうちはそうした浅い経験でも、船長や航海士がサポートしてくれるだろうが、あなたが30代、40代ともなれば船長を任される。そうなれば自活して当然で、もはや誰もサポートなどはしてくれない。


それまでに台風も、津波も経験していなければ、荒波を乗り越える術を身につけられず、自分の船がどこに向かえばよいのかもわからない。
広い海の中で目的を見失い、これが結局大きなガレオン船に乗っていたとしても、挫折感から投身自殺をしてしまうのだろう。



あなたが何かの喪失をしたとか、苦い経験をしたということは、大海原で津波や台風を経験していることであり、さらにはスキルがあがるということは、航海に必要な羅針盤や六分儀を手に入れているということ。

悲しむべきことでもないし、悔やむこともない。
損失や失敗は、明日以降の航海に役立つ能力が高まっているのだから。

少なくとも先日までのあなたよりも、優れた航海士になっている。



年齢が上がれば、あなたは船長になるであろうし、あなたの周囲には関係者が多数いる。
彼らはクルーであり、あなたが迷うことは、彼らの迷いにもつながってしまう。
一人では生きていないということを今一度考えるべきだろう。

もし進路に迷ったら自分が大海原のどのあたりを航海していて、どこに向かうのかを今一度振り返ってみること。
どんな苦境があっても、向かう場所さえ見えていれば、それほど心は乱れないのだから。



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